亡くなった人が相続財産を持っていた時、遺産分割を行います。その際に遺言がなければ民法で定められた法定相続分によって分配されます。
しかしながら民法では相続人が被相続人にたいしてどれくらい生前に貢献したかということを全く考慮しておりません。それでは不平等であると相続人同士で揉めてしまう可能性があります。貢献分に応じて相続分を変化させる制度を寄与分と言います。
寄与分とは…相続人の生前貢献度に応じて相続財産の金額を調整する仕組み。
寄与分が認められる場合
寄与分は実際どのような時に認められるのでしょうか?相続人の生前の貢献度とはどのようなものをさすのでしょうか?詳しくご説明いたします。
寄与分は亡くなった人の財産の維持もしくはその増加に特別の寄与をした人に認められます。そのため毎月一回会いに行っていたというような行為の場合、寄与分としては認められません。
身分関係や親族関係から通常期待される以上に被相続人の財産の維持および増加について特別の寄与をした者が寄与分を受け取れます。扶養義務範囲内での貢献は寄与に当たりません。
寄与分が認められた場合、法定相続分や指定相続分を修正することになるので修正に相当する事情を自らで立証する必要があります。通常期待されるべき看護以上のことを無償でやり続けたなどを客観的に証明する必要があります。寄与分をいただくことは現実としてかなり難しいのです。
寄与分が認められる可能性のある行為
- 被相続人の事業を手伝っていた(家事従事型)
- 被相続人に融資や出資など資金援助をした(資金援助型)
- 被相続人のために財産の管理をした(財産管理型)
- 被相続人を扶養していた(扶養型)
- 被相続人の療養看護を行った(療養看護型)
特別の寄与と民法改正
以前は相続人以外の者が被相続人の介護に尽くした場合でも相続財産を取得することはできませんでした。
例えば被相続人に子供が三人いてそれぞれA,B,Cとします。Aは長男で配偶者Dがいました。しかしながら被相続人が生きている際に長男Aは死亡、しかしながらAは実家で同居で暮らしていたため残された配偶者Dが被相続人の面倒を生前見ることに。
数年間介護した後被相続人は亡くなってしまいました。しかしながらDは相続人の条件を満たさないため財産は1円ももらえません。これだとあまりにも不公平でDが報われません。
特別寄与者
先の不平等を改正するため、被相続人の財産の増加・維持になどに特別な寄与をしたものは、相続人に金銭を請求できるようになりました。この請求できる人を特別寄与者と言います。この改正により先の例であればDさんはBさん,Cさんに寄与分を請求できるようになりました。
しかしながら特別寄与者は亡くなった人の親族(6親等内の血族と3親等内の婚族)に限られています。
そのため内縁の妻やヘルパーさんなど被相続人と法律上の繋がりがないものは請求ができません。その点は注意が必要です。(2019年の法改正で変更されたのは相続人でない親族も特別な寄与として一定の金銭を相続人に直接請求できるようになったのみ。)