遺言書は大きく分けて「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類あります。秘密証書遺言を実際に利用される方は非常に少なく、遺言というと「公正証書遺言」「自筆証書遺言」のどちらかになります。
公正証書遺言は公証役場で保管されます。一方自筆証書遺言はご自宅で保管するのが原則でした。2019年の法改正により自筆証書遺言は法務局で保管できるようになりました。
本制度は保管された遺言書の有効性を保証する制度ではありません。また本人出頭主義であるため必ず本人が法務局に出向く必要があります。
遺言書保管制度におけるメリット
この遺言書保管制度には大きく3つのメリットがあります。
1.遺言書の紛失がなくなる
2.遺言書の捜索が容易
3.検認手続きが不要
◉自筆証書遺言は今まで自宅で保管しなければなりませんでした。遺言書を引越しの際に間違って処分してしまったり、火災などの想定外の事情で遺言書を紛失してしまう可能性がありました。
法務局に保管することにより、遺言書を紛失するリスクを減らすことができます。
◉また遺言書をタンスの奥にしまいすぎて発見されない、相続人の誰にも知らせておらず保管場所がわからず発見できないというケースもございます。
遺産分割協議書を作成した後に遺言書が出てきて一度まとまった遺産分割方法と違う事柄が指定されていた場合、その遺産分割協議書は無効となり再度協議をし直す必要があります。
法務局に保管することで遺言書の有無がわかり、遺言書の内容を確認できるので、遺産分割協議書作成後に遺言書が見つかるというトラブルを防ぐことができます。
◉最後に検認手続きが不要となります。検認手続きは裁判所に相続人が集まって遺言書の内容を確認する手続きです。
そのため相続人全員分の戸籍謄本を取得する必要があります。法務局に保管した場合は検認手続きが不要となるので、他の相続人の関与なく手続きを進めることができます。
保管にかかる費用
1件につき3,900円です。台紙に収入印紙を貼り納付します。収入印紙は法務局内で購入することが可能です。
遺言書の閲覧請求は遺言者もしくは法定相続人等の関係者が行うことができます。原本の閲覧の場合1回につき1,700円、モニターによる閲覧は1回につき1,400円です。
遺言書を保管するまでの手続きの流れ
1.遺言書を作成します。
自筆証書遺言の所定の様式にそって作成いたします。詳しくは自筆証書遺言についてまとめたページをご覧ください。→自筆証書遺言
2.遺言書の保管場所を決める。
遺言書の保管場所は法務局です。法務局でも保管の対象場所とそうでない場所があります。詳しくは法務省のホームページに記載されています。
またどこの法務局でも提出できるものではありません。遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する法務局のいずれかである必要があります。
3.申請書を作成する。
次に申請書を作成いたします。申請書の様式は法務局もしくは法務省のホームページから手に入ります。→自筆証書遺言保管の申請書
4.保管の申請予約および来局する。
管轄の法務局に電話にて申請する日を予約し、法務局へ行きます。予約なしで行った場合長時間待たされるもしくは受け付けてもらえない可能性があります。
法務局へいく当日はかならず「遺言書」、「申請書」、「本籍入りの住民票」、「写真付きの身分証明書」、「現金3900円」が必要です。
5.保管証を受け取る。
最後に保管証を受け取ります。保管証は無くした場合再発行ができません。保管証がなくても遺言書の閲覧は可能ですが、保管証があると手続きがスムーズに行えます。