過去に依頼人は妊娠7ヶ月で旦那様が事故により突然亡くなってしまったケースがございました。そのようなケースの場合(胎児がいる場合)相続税はどのようになるのでしょうか?
●胎児の相続権
まず民法では胎児についてはすでに生まれてものとみなし相続権を認めています。従って死産や流産ではない限り胎児も法定相続人の1人となります。
●相続税の基礎控除
相続税には基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人)がございます。若い奥さんの場合、旦那様がそこまで多くの資産を持っていない可能性もあります。相続税の基礎控除金額内に収まる場合は、奥さん・胎児共に相続税の申告義務はございません。
●胎児の納税義務
一方旦那様が資産家の家で旦那様がすでにその資産を引き継いでいた場合などは、当然相続税の納税義務が発生します。胎児も例外なく納税義務は生じます。実務として相続開始のときに胎児がいる場合で相続税の申告書提出の時までに生まれていないときはその胎児はいないものとみなし各相続人の課税価格の計算を行います。
逆に胎児がすでに生まれている場合は胎児を法定相続人に含め遺産にかかる基礎控除を計算し各相続人の課税価格や相続税の総額を計算します。
胎児が申告期限までに生まれていないため法定相続人の数には含めず相続税を計算し、その後胎児が生まれた場合、遺産にかかる基礎控除、相続税の総額などを再計算することになります。
この際に胎児であった相続人については通常の相続税の申告を、他の相続人については更正の請求を行うことになります。
●胎児が出生した場合の提出期限と他の共同相続人の更正の請求
胎児であった相続人の確定申告書の提出期限は、その者の法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日の翌月から10ヶ月以内と定められております。当然胎児は申告書を提出できないため法定代理人が胎児に代わって期限後申告書を提出することになります。
相続税の申告期限後胎児が生きて生まれてきたことにより相続人に異動が生じた結果、すでに納付している税金が過大になった場合、その他の共同相続人は胎児が出生の事実を知った日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行い納め過ぎの相続税の還付を行うことになります。
申告期限までに生まれていない胎児をすでに生まれたものとみなして課税価格や相続税を計算した時に全ての相続人の相続税納付額がゼロになる場合があります。このような場合胎児以外の相続人が申請をすればこれらに関わる相続税申告書の提出期限を2ヶ月間伸長することができます。