日本では遺産を相続する上で税金がかかります。これを相続税と言います。相続税がかかるかどうか判断するためには遺産の総額を確定する必要があります。相続財産は被相続人が死亡する前に所有していた財産すべてですが、相続税法ではこれ以外にも相続財産として含めているものがあります(みなし相続財産)
みなし相続財産には生命保険金や死亡退職金、弔慰金があります。生命保険金の場合は、受け取った保険金の額から相続人一人につき500万円の控除があります。同時に死亡退職金も相続人1人につき500万円の控除があります。弔慰金は本来非課税ですが、業務上の死亡の場合は給料の3年分の金額、業務上の死亡でない場合には6ヶ月を超える場合には退職金として取り扱われる場合がございます。
相続税の基礎控除
相続を行う方全員に関係があるのが相続税の基礎控除です。基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)仮に相続人が1人だけの場合、遺産の価額が3600万円以下であれば相続税は無税となります。
配偶者控除
配偶者は被相続人の財産形成に大幅に貢献していることやまた配偶者の老後の生活を安定させる必要などから、配偶者控除制度というものがあり、配偶者はかなり優遇されております。配偶者とは民法上で婚姻関係があるものであり、内縁関係者は認められておりません。具体的には配偶者が相続により取得した財産が1.6億円以下であれば非課税であり1.6億円を超えた場合でも法定相続分以下は非課税となります。
受け取る財産の合計が1.6億円を超えていてかつ法定相続分を超える場合、法定相続分の額にかかる税額が本来の税額より控除されます。
配偶者控除を受ける条件として、配偶者が実際財産を取得していること、この軽減措置を受ける旨の申告を行うこと。原則として申告期限内に遺産分割が終わっていることがあります。
小規模宅地の評価の特例
被相続人が住んでいた宅地等を被相続人の配偶者、被相続人と同居していた親族が取得する場合、宅地の面積が330平米以下までは80%の評価減を受けられます。また被相続人と生計を同一する親族が住んでいた宅地を被相続人の配偶者、被相続人と生計を同一にしていた親族が取得する場合も同じです。
被相続人の事業用の宅地に関しては条件により軽減割合が異なります。こちらは国税庁のHPに詳細が載っておりますので参考にしてください。(国税庁HP)
未成年者控除
相続人が未成年者だった場合、一定の税額を差し引きます。実際の計算式は未成年者が20歳になるまでの年数×10万円です。1年未満は切り上げされます。民法改正により成人年齢が18歳になったため、2022年4月以降の相続は20歳→18歳に変更となります。
未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
(1) ①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)、または②相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
イ 日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
ロ 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)
ハ 日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。)
(注) 「一時居住者」、「外国人被相続人」、「非居住被相続人」および「非居住外国人」については、コード4138「相続人が外国に居住しているとき」をご覧ください。
(2) 相続や遺贈で財産を取得したときに20歳(注)未満である人
(注) 「20歳」とあるのは、令和4年4月1日以後の相続または遺贈については「18歳」となります。
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。