自分の資産を自分の資産を思い通りに残す方法として生前贈与、遺言による相続、死因贈与と遺贈があります。何も対策をうたないと法定相続といい、法律で決められた割合に自動的に配分されてしまいます。生前贈与などはそれぞれ民法で規定されたものです。
簡単に説明すると生前贈与とは、文字通り生きているうちに財産を渡す方法で、遺言による相続は、公正証書遺言等で遺産分割の方法や割合などを指定する方法です。死人に口なしとなってしまうため亡くなる前に意思表示を法的にしておく方法となります。死因贈与は死んだら〇〇を渡すという約束です。遺贈は相続人以外の人に遺言で財産を渡すことです。
また財産を思い通り渡すための手段をケース別でまとめました。
妻に全財産を渡したい時
・生前贈与により財産の贈与
・遺言の場合は全財産を妻に相続させる旨の遺言を書く
後妻と先妻の子供がいるとき
・生前贈与による財産の贈与
・遺言をすることにより先妻の子に多く相続させるなどの旨を書く
婚外子の子供がいるとき
・生前贈与による財産の贈与
・認知する旨及び相続分などの遺言
特定の推定相続人に財産を渡したくない場合
・生前対策としては相続人廃除の手続き
・遺言の場合は理由をつけて相続人廃除を行い、遺言執行者の指定
後継者に事業承継をさせたい場合
・生前対策として株式の贈与
・遺言の場合は法定相続分に加えて遺贈する
これまで子供にあげた分が異なり公平にしたい時
・生前贈与により少ない人への財産の贈与
・遺言の場合は贈与金額が少ない相続人に多く残す旨の遺言を書く
●財産目録の作成
思い通りの相続を行うためにはまず自分自身がどのような資産を持っているのかを把握する必要があります。相続財産の内訳や評価額をまとめた一覧表を財産目録と言います。
財産目録は必ず必要な書類ではないですが、作ることによって、財産の全容がわかりやすくなります。まずはこの書類を作成しましょう。また、遺言書に財産目録を添付することにより、財産を一つ一つ書く必要はなく、「別紙財産目録の〇〇を・・・」と書くだけでよくなります。以前は財産目録は指定がありましたが現在ではPCを用いても良いこととなっております。
財産目録に載せておきたい内容として、不動産、現金、預貯金、車、株式、骨董品など、債務などがあります。
●遺言書の付言事項
遺言書の付言事項と遺言書において法的効力をもたない記載事項を付言事項といいます。たとえば、兄弟で仲良く分けてくださいや、一定の理解を示してほしいなどの家族へのメッセージや葬儀・納骨に関する希望などです。
必ず書く必要はございませんが、付言事項は、自由に文章を作成できるため、遺言者自身の率直な想いを伝えることができます。したがって家族に対して感謝の気持ちを伝えられたり、相続トラブルを防げることができるなどのメリットがあります。
遺言書を書く場合、介護に従事してくれた長男に他の兄弟よりも少し多めの遺産を渡したいなど、相続人の間で不平等な内容にしたいこともあります。そのケースでは、取り分が少ない相続人は不満を持つことがあります。しかし、そのような内容の遺言を作成した経緯を付言事項に書くことで、相続人が納得し不満が解消されることもあります。