相続財産といえば、預貯金や株式、車や自宅などですが、地方などでは大規模な農地があるかもしれません。今回は農地の相続の概要や気をつけることなどを詳しく解説していきます。
農地の相続の問題
特に被相続人が地方に住んでおり、相続人が都心部に住んでいる場合などは、現実的に引き継ぐのは難しいでしょう。特に土地を放置してしまうと、害獣や害虫などが発生してしまい近隣に迷惑をかける可能性があります。このような場合、農地を手放す必要があります。
ただこれを逆手に取り農地を貸出することで収入を得たり、売却をすることで一時的に金銭を得ることも可能です。また次の相続人への負担になる可能性もあるので、うまく活用できない場合は処分することも必要でしょう。
農地を手放したい場合
上記のような事情で農地を手放したい場合もあると思われます。このような場合、主に相続放棄、売却、貸出の3つが考えられます。
まず相続放棄についてですがこちらは相続の権利を全て手放すものになります。相続財産が農地や借金だけでしたら問題になりませんが、預貯金が多くある場合などは大事な財産を引き継ぐことができず損をする可能性があります。
売却や貸し出しの場合、原則として農業委員会の許可が必要になりますので注意が必要です。
農地を相続する場合
農地を相続する場合、通常の相続と同じようにまず相続登記の手続きをします。その後、農業委員会に届け出を出す必要があります。届出の際に必要なものは登記事項証明書と規定の届出書です。なおこれは相続を知ってから10ヶ月以内と明確な期限がありますのでご注意ください。
守られない場合、10万円以下の過料がありますので注意が必要です。なお法定相続人ではないものが引き継ぐ場合、農業委員会の許可が必要になる点も気をつけましょう。
農業相続人の納税猶予の特例
まず農業相続人とは農地を相続によって取得し相続税の納付期限(相続を知ってから10ヶ月)までに農業を始め、運営していくと認められた人のことを指します。
農地の固定資産税評価額があまりにも高く、相続税を支払うために農地を売却しなければならない状況になれば本末転倒です。そのようなことを防ぐためこの猶予特例が創設されました。
この制度では本来の相続税の金額から農業投資価格による相続税額の差分が猶予されます。
誰でもこの特例が使えるわけではなく、被相続人が農業を営んでいたことが前提で、相続人自体も相続税の納付期限までに農業を営んでいなければなりません。(農地として使うのが前提)
実際農業地は純農地、中間農地、市街地農地、市街地周辺農地に分類され、そこから評価額が決まります。農地の評価が難しい場合は相続専門の税理士等に相談するのが賢明です。