日本では非常に中小零細企業が多いです。そのため相続人が小さい法人を持っており、その承継の問題はしばしば起こります。今回は被相続人が自分自身で会社を経営しており、それをどう引き継ぐか?について解説していきます。
被相続人が自分の息子を後継者として会社を承継させるとき、主に3つの手段がございます。それが贈与・相続・売買です。贈与や相続の場合は後継者である息子が贈与税、相続税を負担することになり、売買の場合は買い手は手持ち現金が必要となり、売り手は利益が出た場合、譲渡にかかる税金(キャピタルゲイン税)が必要になります。
非上場会社の相続
被相続人が死亡し、後継者である息子が株を相続すると相続税が発生します。(相続税の基礎控除が最低3600万円ありますので、それより小規模の場合、税金の心配はないでしょう。)
非上場会社の相続税評価は、相続税・贈与税の計算上「取引相場のない株式」として扱われます。「相続税財産評価に関する基本通達」によって評価が行われます。
相続税の評価金額を出す際の計算方法は1通りではありません。その会社の規模などによって変わってくるのです。評価の方法は大きく2つに大別され、原則的評価方式と配当還元方式です。同属株主等の場合は原則的評価方式、同族株主等以外の場合は配当還元方式となります。
原則的評価方式はさらに以下の3つに細分化されます。
- 大会社(類似業種比準方式)
- 小会社(純資産価額方式)
- 中会社(類似業種比準方式と純資産価額方式の併用)
評価の仕方などは、専門的な知識が必要となるため相続に詳しい税理士などに依頼することをお勧めします。
なお会社の業績が良い場合、思っている以上に相続税が高額になる可能性もございますので注意が必要です。
事業承継税制
事業所受け税制とは、家族経営や中小企業などでの事業の承継を円滑に行うために、一定の条件を満たすと税制優遇措置を提供する制度のことを指します。2018年〜2027年の期間限定で行われている税制です。これはスムーズに事業が引き継がれるようその際にかかる相続税や贈与税などの税金負担を軽減することを目的としております。
例えば創業者である1代目が次の世代である息子に事業継承を行い、その息子の子供(孫)が引き継いだ場合、本来ですと、それぞれの引き継ぎの際に贈与税もしくは相続税が発生します。しかしこの事業承継税制を使うと2代目が本来払うはずだった税金が免除されます。
この制度のポイントは、事業をきちんと次の世代にバトンタッチができれば、税金を免除するというものです。あくまでも承継段階中では税金の支払いをあくまでも猶予している状態です。そのため3代目が継ぐ意志がはっきりしない場合などは、猶予期間の利子税などは発生してしまうため注意が必要です。