有価証券とは、難しい言葉で伝えると、財産権を表章する証券であり、それによって表章される権利の発生・移転または行使の全部もしくは一部に証券を要する物を言います。具体的には株式や債券、投資信託、不動産投資信託受益権、金融商品取引法に基づく外国証券などです。
なお切手や収入印紙等は金券として扱われ、実際にそのものを承継するものにとどまるため、有価証券とは区別して考えるのが一般的です。
今回は被相続人が有価証券を持っていた場合の調査方法についてまとめました。
相続財産の調査
まず被相続人が有価証券を所有していたかどうか、調査する必要があります。有価証券といっても市場に公開されているもの、公開がされていないもの(自分の会社の持株)、契約により規定があるものなど様々です。
上場企業の株式の場合
預貯金の調査と同じように郵便物やスマホのアプリ、メールなどにより保有している証券口座を確認します。銀行口座と異なるのは通帳がない点です。
一方株式会社証券保管振替機構(ほふり)に開示請求をすれば特定することも可能です。法定相続人がする場合、法定相続人の本人確認書類、開示請求書、被相続人の住所の確認書類、法定相続情報一覧図又は相続人と被相続人の関係を示す戸籍等が必要です。必要書類を郵送にて送付いたします。
なお開示にあたっては6050円の手数料がかかります。(2024/5現在)
証券口座が特定できましたら、対象の金融機関に直接いくか(ネット証券の場合不可)、郵送や電話でやり取りをすることによって、被相続人が亡くなった時点でどのような有価証券を持っていて、いくら残高があるかを確認していくこととなります。
なお金融機関に直接いく場合は原則として事前予約が必要となりますので、ご注意ください。
ほふりでの開示請求の詳細については、下記を参考にしてください。なお投資信託なども同じです。
財産の特定が完了した場合、遺産分割協議をへて最終的に相続人の口座へ移管されます。例えばセゾン投信の場合、口座残高がある場合は相続人のセゾン投信の口座に移管いたします。相続人が口座を持っていない場合、新たに口座を解説する必要が出てきます。口座残高がない場合も相続人による口座閉鎖の手続きがあります。
非上場株式の場合
非上場株式の場合には、証券会社等が株主名簿の管理を行っておりません。そのため被相続人が非上場株式を持っていたかどうか?を調査することは大変難しいです。非上場株式の有無については、株券や株主総会招集通知、配当金の支払通知書、確定申告書の控えなどを手掛かりに、株式発行会社を調べてそこに直接連絡をして、確認をする必要があります。
なお非上場株式の場合、配当なども出ず経済的恩恵が少ない場合があります。しかしながら相続税の対象となるため、非上場株式を相続すべきなのかどうか?は慎重に検討する必要もあります。