高齢者消除とは、所在のわからない100歳以上の高齢者について到底生存の見込みとなく、すでに死亡していると認められる場合、市区町村(各自治体役場)が法務局長の許可を経て、職権により戸籍上死亡とすることです。
人間の平均寿命は80歳くらいであり、長くても100歳ちょっとです。しかし戸籍上には100歳を超えた人がたくさんいるのが現状です。しかし現実的には死亡している可能性が極めて高く、死亡している高齢者の戸籍をそのまま放置しておくことはよろしくありません。
人の寿命
高齢者消除の基準として100歳という年齢があります。史上最高齢は、122歳で1997年にフランスで亡くなったジャンヌルイーズカルマンさん、男性の最高齢は泉重千代さんの120歳とされています。近年ではこれは戸籍などの問題もあり実際にはそこまでの年齢でなかったのでは?という証拠が出てきて疑問視もされています。
ただ一つ言えることとして人間の寿命は120歳くらいが限度ということです。
高齢者消除の区分
高齢者消除の対象となる行方不明者は120歳以上だけでなく3つの年齢区分があります。それぞれ要件が異なります。
まず120歳以上の場合、戸籍の不評に住所記載が無い場合、特段の事情がない限り調査は行われず、高齢者消除の対象となります。なぜなら先述のとおり120歳以上で存命の可能性は限りなく0だからです。
100歳以上の場合は、120歳の条件に「生存を証明する資料がない」が加わります。100歳以上の人は数万人はいると言われているので、当然家族等の調査を経た上で消除します。
高齢者消除の対象となるのは原則100歳以上ですが、90歳以上でも対象になる可能性があります。それは親族から高齢者消除の申し出があった場合です。
相続の開始の原因とはならない
高齢者消除は戸籍の整理のための行政措置のためこれにより死亡の記載はされますが、相続の開始の原因とはなりません。また死亡日は戸籍上に記載されません。
したがって相続を開始するには、死亡届をだすもしくは失踪宣告の手続きを取ります。ただし、死亡宣告は親族等からしか出せないので、相続を始めるためには失踪宣告が必要なことがあります。
死亡届を出し忘れていて高齢者消除されていたケースもございます。その場合、死亡届を出せば良いのですが、死亡届には死亡診断書や死体検案書の添付が必要です。時間が経てば経つほど、書類を用意するのが大変になります。
高齢者消除の方が相続の対象となったの場合
また高齢者消除された人が相続人となるケースもございます。この場合も手続きを進める上でその方の実印、印鑑証明書が必要となります。すなわち高齢者消除では遺産分割協議から除外できないのです。
そのため実際にはどうすることもできず、相続手続きが滞るのが現実です。この場合は高齢者消除された相続人は行方不明者となるので、不在者財産管理人を選任し手続きを進めなくてはなりません。
高齢者消除と代襲相続
被相続人が死亡する前に、相続人が高齢者消除されていたとしても代襲相続の発生はありません。先述のとおり、高齢者消除では戸籍に死亡日は記載されないため、被相続人より先に亡くなったかどうかは不明です。