相続時精算課税制度とは贈与を受ける人(財産をもらう人)が2,500万円まで贈与税を支払わず受け取ることができ、贈与をした人(財産をあげた人)が亡くなった際に相続財産と贈与財産の金額を合計しそれに対して相続税を納める制度です。
簡単にまとめると贈与税を一定の金額まで免除する代わりに相続時に税金を支払う、すなわち税金の支払い時期を繰り延べするという制度となります。
暦年贈与
通常贈与をした場合は毎年110万円までの非課税枠があります。この110万円の控除を利用する場合、暦年贈与と言います。
例えば2000万円の財産を一括で生前に贈与した場合は暦年贈与の控除金額110万円を差し引いた1890万円に贈与税がかかります。
しかし相続税精算課税制度を利用すれば2500万円以下となりますので、贈与税は非課税となります。
さらに相続税は3000万円+法定相続人×600万円の基礎控除額があり、2000万円の財産を相続するだけであれば相続税もかかりません。
つまり相続税、贈与税を支払うことなく生前に贈与することができるのです。
相続時精算課税制度のデメリット
相続時精算課税制度にはデメリットもあります。例えば一度この制度を利用してしまうと同じ人からの贈与は暦年贈与に戻すことができません。
またこの制度を利用した場合相続時に使える「小規模宅地の特例」を利用することもできません。小規模宅地の特例は一定の基準を満たした居住用の宅地(自宅など)であれば相続税の評価額を80%減額して税金を計算する制度です。
節税効果がかなり大きいですのでどのようにするのが有利か見極めて行うようにしましょう。
相続時精算課税制度はあくまでも相続時に税金を支払う制度なので、贈与税は一定金額まで免税となりますが、結局相続税は支払わなければという点は注意が必要です。
相続時精算課税制度の適用条件
相続時精算課税制度は適用できる条件があります。贈与者(あげる人)は60才以上の親または祖父母、受贈者(もらう人)は20才以上の子または孫と決まっております。(正確には贈与をする年の1月1日時点で60歳を超えていることが条件です。)
この制度は自動的に使えるものではなく、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告と同時に提出しなければなりません。
税務署に相続時精算課税選択届出書を提出しなければなりません。しない場合は自動的に暦年課税となりこの特例は使うことができません。自己申告が必要であることに注意しましょう。